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『女と男のララバイゲーム』

先週の2010年11月17日に、44枚目のシングルとして『女と男のララバイゲーム』が発売された。YouTubeの公式チャンネルのミュージック・ビデオはこちら。

http://www.youtube.com/watch?v=_iK_pyDYgPI

この曲はミュージック・ビデオよりも先に、10月10日の中野サンプラザでの公演でライブで初披露された。そのときの私の感想は、「ちぐはぐな衣装と振り付けもあわせて「前衛的」というものだった。体の大きいノームが8人出てきて、安っぽい北欧メタルに合わせてコサックダンスを踊るという夢を見た、という感じだ。とにかく現実感が薄い」だった。

その後、演出に調整が入った。まず、脚のふわふわしたやつ(ミュージック・ビデオで黒い背景のときにつけているやつ)がなくなった。また、高橋愛が歌うところで音楽を止めて「溜め」を作り、客席からの歓声を煽るようになった。今週の静岡公演での最後の印象は、慣れてきて「細部が雑になってきている」、というもの。


全体的にちぐはぐだという感想はいまでも変わらない。2009年の『泣いちゃうかも』、『しょうがない 夢追い人』、『なんちゃって恋愛』が古典的な歌謡曲の世界観に基づいて保守的にプロデュースされていたのに対し、2009年の最後の『気まぐれプリンセス』と、2010年に入ってからの『女が目立ってなぜイケナイ』、『青春コレクション』、『あっぱれ回転ずし!』、そして今回の『女と男のララバイゲーム』はアグレッシブに攻めているという印象があるが、その中でもこの『女と男のララバイゲーム』は8人体制の集大成として作られたのか、「わかりやすい問題作」になっていると思う。


ミュージック・ビデオでしか見たことのない人向けに言っておくと、ライブ・パフォーマンスの印象はミュージック・ビデオのものとはずいぶんと違う。踊りがもうちょっと激しくて騒がしい。最初の印象として「ノーム」という言葉を出したが、あの庭に飾ってあるノームの人形が8体、庭で腕を振り回しながら踊り始めた、というような非現実的な感覚があった。いまではパフォーマンスがスムーズになったせいなのか、こちらの目が慣れたのか、けっこう普通の踊りに見えるけれども、私がミュージック・ビデオを初めて見たときには、「こんなにゆっくりなダンスだったんだ」と意外に思ったことを覚えている。

ライブ・パフォーマンスは措くとして、ミュージック・ビデオについていうと、「問題作」を作るためのいろいろなフックがちょっと露骨かな、という感じもする。それが成功しているかどうかは人それぞれ受け止め方があるにしても、ダサさを強調した露悪的な路線だから、受け付けない人は心の底から受け付けないだろう。

個人的な好みの問題として、ダンス・ショット・バージョンが変にカット割りされているのが非常に残念だ。ハロプロの美点の1つは固定カメラによる長回しのミュージック・ビデオを提供しているところなのだけれども、今回のこれとか、ライブDVDの細切れ編集にはがっかりさせられる。ただ、今回の『女と男のララバイゲーム』に限って言うと、固定カメラによるショットに耐えられないものができちゃったのかな、という気もするのだ。この曲の踊りは『青春コレクション』よりもさらに難しいもので(腕をくるくるさせながら、特にステップを踏むこともなく単に歩く、なんてことをエレガントにやってのけられる人がどれほどいるだろうか!)、私はいまだにこれがうまく行っているところを見ていない。それでも「そこそこ」良く見せてしまえるのがモーニング娘。の底力であるわけだが、ライブのステージ上ではともかく、ミュージック・ビデオの撮影現場で、十分な練習も重ねていない段階では無理だったんじゃないかな、ということを、細切れの映像を見ていて思うのである。


前衛的な印象を与えるもう1つの要素が衣装だ。コンサートではアンコール後にミュージック・ビデオで着ているのと同じ衣装を着てこれを歌うわけだが、その後の最後の曲『涙ッチ』にまったく合わないという大問題を度外視すれば、この衣装はキッチュかつエロティックで好みである。今ツアーは、冒頭のミリタリーな衣装が、メンバーの体格の貧弱さを強調していてつらいのだが、『女と男のララバイゲーム』の衣装は体のプロモーションを強調するもので、そこらへんをうまくカバーしている。ミュージック・ビデオでもこの衣装は白と黒の背景に映えていて悪くないと思う。


ミュージック・ビデオのダンス・ショット以外の部分、つまりクロスアップ・バージョンに入っているやつと、煌びやかな服を着て突っ立っているショットは、私とは違うタイプの人をターゲットにしているんだろうな、と思うしかない。モーニング娘。は一般論として容姿の面で難がある、と言い切るつもりはないんだけれども、こういう水商売をにおわせる演出はあまり似合わないと思う。いや似合わないというよりは、ときに似合いすぎて怖くなるというか。ここらへん表現が難しいのだけど。


道重さゆみファンとしては、「心を決め」という6音のソロ・パートが見所、というほどのこともない、ヴォーカル的には重要度の低い曲だけれども、ダンスの面ではジュンジュンととも非常に良い(高橋愛は例のごとく別格として)。特に道重さゆみのダンスはミュージック・ビデオのものから微妙に変わっており、スロー・ラーナーなんだろうなと思った。これはたぶん重要な資質なのである。


最後に。高橋愛とリンリンがこの曲のプロモーションのためにInterFMの『76Records』 http://www.interfm.co.jp/76r/ という番組に出演した。このときにDJが曲のタイトルに入っている「ララバイ」という言葉を話題に出し、高橋愛がその意味を知らなかったことが明らかになった。まあ高橋愛がそういう人なのはわかっていたが、ネイティブ・スピーカーっぽい発音を売りにしている女性DJが、今回調べて初めて知ったと言い、「子守歌」という日本語を知らなかったけれども英語の意味は知っていたリンリンが「あなたたち日本人でしょう!」という方向違いの突っ込みをするなど、笑える展開となった。

その後、お気に入りのミュージシャンの曲として、高橋愛はChristina Aguileraの"Genie In A Bottle"、リンリンはRihannaの"Umbrella"を挙げた。リンリンは他にもMicheal JacksonとKelly Clarksonの名前を挙げていた。

それはともかく、要するに高橋愛は歌のタイトルの意味を理解せずに歌っていた。これは、曲が渡されるときに歌詞についての説明がないこと、また曲が渡された後もメンバー内で歌詞についての会話がないことを意味する。高橋愛がそのループから外されている、という可能性もあるけれども、私が知っている他メンバーの発言から総合するに、やっぱりそういうことは行われていないのだと思われる。

歌い手が歌詞の内容に思い入れを持たずに歌うことは悪いことではない。特にハロプロの場合は各メンバーが細切れにされたパートを順番に歌っていくフォーマットだから、形式上も思い入れを持って歌うことが禁じられていると言ってもよい。これは私がハロプロの音楽を聴けることの大きな要因の1つであり、本気で良いことだと思っている。それはいいんだけど、こうやってプロモーションで外に出たときに危うい。


最近特に印象深かったのは、モーニング娘。ではなくスマイレージの『同じ時給で働く友達の美人ママ』だった。この曲の歌詞は、主人公である女の子(スマイレージのメンバーが投影されているから高校生ないし中学生)がバイト先の店長に恋心を抱いているが、そこに友達のママが後から入ってきて色気を振りまくものだから嫉妬して、ちょっとした競争になる、という内容である。これはアメリカとかに持っていったら問題になりそうな過激な内容で、スマイレージがプロモーションのために出演するテレビやラジオの番組では司会者が神経質になっていると感じられることがある(もっともほとんどの場合は流れ作業で処理されてしまうが)。

そして稀にではあるが、そこの点を突っ込もうとする人が現れる。もちろん露骨な言い方はせず、遠回りして行こうとするのだが…スマイレージのメンバーはその手の話題になると完全にシャットダウンするのである。ラジオ番組であっても、それ以上の会話が不可能な雰囲気になったことが露骨にわかる。そもそも「バイト先の店長に恋をする」以前に「恋をする」を話題にできないから、「バイト体験」とかの話でお茶を濁すわけだけれども、彼女たちにはバイトの経験もなく、学校で行った職業体験の話になったりする。

こういったことからわかるのは、スマイレージのプロモーションを行っている人たちは、彼女たちに歌についてのトークをする準備をさせていない、ということで、さらにいえば、そのことが明らかになってもかまわない、と判断しているということである。全体として視聴者が受ける印象は、「訳のわからない歌を与えられて、意味もわからず頑張って歌っている少女たち」というものであり、それがこのスマイレージのニッチなのだろう。


モーニング娘。の「ララバイ」の場合、それがどういうニッチなのかよくわからないけれども、他の場面でのメンバーたちの言葉から総合するに、歌の内容を軽視している、という印象を与えても問題ない、という判断があることはわかる。これは作詞家だけでなく「プロデューサー」としてのつんくの役割についてもそうであって、実際はどうかわからないけれども、全体的にいまのモーニング娘。のメンバーたちはあまりつんく(やその他の「スタッフ」)のことを高く評価していない、という印象がある。これはかなり興味深い戦略だと私は思うのだ。細かくは別稿で書いてみたいと思うのだけれども、欧米のリアリティ・ショウでの常套手段である「スタッフはバカである」という演出を現実世界でやっているわけで、ここらへん日本のショウ・ビジネスの奥深さを感じる。
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