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Juice=Juice 『私が言う前に抱きしめなきゃね』の英語版歌詞 #1

YouTubeの公式ビデオのチェックすら怠っていることがバレてしまうが、前の稿でJuice=Juiceの『私が言う前に抱きしめなきゃね』の映像を調べているときに、アップフロントがミュージック・ビデオに英語訳歌詞のサブタイトルを付けるようになったことを知った。日本語歌詞のテキストはたとえばこちら: http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND143681/index.html



英語を使うときには必ず1つは初歩的間違いを入れるように、という業務規定があるのではないかと勘繰りたくなるアップフロントにしてはクオリティが高い仕事だった。以下、この英語訳を見ての感想。突発的に長文になって、3部構成である。なお、これは論評を目的としての、著作権法上許されている歌詞の「引用」であることをあらかじめ強調しておく。


黒髪だからって 真面目な子とか

黒髪だからって 真面目な子とか


歌い出しのこの部分、「真面目な子」を"serious girl"としているのには違和感があった。実際、YouTubeでのユーザー・コメントを見ると誤解を生んでいるように見える。このように特に文脈なしに"a serious girl"と言われた場合に想像するのは、「日頃ずっと真面目くさった顔をしていて、ジョークも言わず、黙々と勉学・運動・課外活動などの目標に打ち込んでいる面白みのない優等生」である。反対概念は、あらゆることを気楽に捉えてジョークで返し("She doesn't take anything seriously!")、特に目標も立てずに日々お気楽に過ごしている女の子だ。

一方、この歌詞の「真面目な子」はもっと限定的に「男女関係に消極的な女の子」を指しており、反対概念は「尻軽」である。これがはっきりと性的なニュアンスを含んだ言葉であるということがわからないと、この次に来る歌詞だけでなく曲全体の意味が理解しにくくなりそうだ。

じゃあどんな言葉を使えばよいのだろうか? それが簡単に思いつくようなら作詞家になるべきなんであって、凡人としては違和感を指摘するので精一杯なのである。意味合いとしては"innocent"がとても近いが、この歌詞の語り手が主人公の女の子本人であることを思うと変である。意訳OKということなら、"naive"であれば、この女の子がいかにもいいそうなセリフになる("I'm not a naive girl!")。"shy"もいいが、この言葉は後で「大人しい」の訳語として使われている。

安心してたら 誰かに取られるぞ


安心してたら 誰かに取られるぞ

ここの"taken away from someone"の"from"は"by"の単純な間違い。

「安心」を"relieved"としたのは、上の"serious"と同じく、日英辞書を引いたときに最初に出てきた単語を深く考えずに使った、という感じで、「(何かが起こって心配事が解消されて)ほっとした」という意味だからこの文脈にはそぐわない。ここの「安心してたら」は「うかうかしていたら」とか、もっと具体的には「何も手を打たないでいたら」という意味で、たとえば"lazy"みたい言葉にするか、"Don't be so assured"のように切り口を変えるとかの方法が考えられる。が、歌詞としてとなるとやっぱり難しいな。


夢から来てくれない


夢から来てくれない

「時間は待っちゃない」、「夢から来てくれない」、「星空が今夜は眩しい」という並びでの「夢から来てくれない」。けっこうな時間を費やして考えたけれども意味がわからない。

日本語を外国語に訳す作業は、元の日本語の意味がわからないときが最もキツい。歌詞のような文学的表現なら仕方がないが、情報伝達が主目的のはずの文章にもわからない日本語はけっこう多いのだ。このケースでは訳者も原文の意味がわからなかったと思うが、同じレベルで意味不明な訳文をつけたのは正解である。支離滅裂なのは訳者の能力の限界のせいではない、とわかってもらえる信頼関係が読者との間に必要だが。
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