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『数学女子学園』と"Numb3rs"

『数学女子学園』についての前回の文章で、"Numb3rs"というアメリカCBSのテレビ・ドラマについて書いたのだが、あれからシーズン1のDVDボックス・セットを見続けていたら、囚人のジレンマとモンティ・ホール問題が出てきた。というわけで、『数学女子学園』の各エピソードの数学問題を改めてまとめておくことにした。


#1 道重さゆみ 階段の角度とパンチラ
#2 矢島舞美  計算問題での対決
#3 須藤茉麻  数学関係なし(食堂までの競走)
#4 吉川友 囚人のジレンマ
#5 鈴木愛理  席替えで隣になる確率を高める奇妙なくじ引き
#6 嗣永桃子  数学関係なし(障碍物競走)
#7 高木紗友希 計算問題での対決(線香花火を使った時間計測)
#8 中島早貴  モンティ・ホール問題
#9 教育実習生 数学関係なし(手鏡による覗き)
#10 真野恵里菜 変則ポーカー
#11 真野恵里菜 変則ポーカーの続き
#12 石川梨華  ペアノの公理


● 前に書いたように、階段の角度とパンチラの問題は、"Law & Order: LA"というドラマによく似たトリックを使ったエピソードがあった。


● 吉川友の回に出てきた囚人のジレンマは、"Numb3rs"シーズン1のエピソード10 "Dirty Bomb"に出てきた。放射性セシウム廃棄物満載のトラックが盗まれて、ロサンゼルスがダーティ・ボムの脅威にさらされるという、いまとなっては笑い事じゃないストーリー。犯人グループを数名捕まえたものの、トラックの隠し場所がわからないので、白状するために囚人のジレンマ的セッティングを使う。

複数の被疑者がいるときの囚人のジレンマ的セッティングにおける司法取引は、アメリカの犯罪捜査ドラマ("procedurals")では頻繁に使われる仕掛けなのだが、"Numb3rs"ではわざわざコンサルタントの数学者が「囚人のジレンマ」という言葉を使って、さも凄いことを思いついたようにそれを執り行う点が珍しい。それにこのエピソードでも、「最初に自白した奴の刑が軽くなる」という早い者勝ちのシナリオになっていて、「囚人のジレンマ」の古典的シナリオからはズレがある。実際のところ、私はアメリカの犯罪捜査ドラマでは早い者勝ちのシナリオしか見たことがない。古典的シナリオのように、先に自白した者の利益が確約されないと弁護士が取引を許さないだろうと思う。弁護士なしでも、被疑者が「司法長官の署名入りの誓約書がないと自白しない」と言い出すシーンをいくらでも見たことがあるし。


● 中島早貴の回に出てきたモンティ・ホール問題は、シーズン1のエピソード13 "Man Hunt"にちょっとだけ出てきた。護送車から脱走した囚人を追う捜査班が、逃げ回っている囚人たちを探そうとするが次々と見込みが外れる。制限のあるマンパワーを使って、次にどこを探すべきかを決定するときにベイズ確率を使う、という話。このときにコンサルタントの数学者が大学の教室でモンティ・ホール問題を実演してみせるシーンが入る。

この回はむしろ囚人たちの逃走パターンをマルコフ連鎖で説明する方がメインで、ベイズ確率はちょっとした挿話だった。


● ちなみにシーズン1のエピソード8 "Identity Crisis"では、エピソード冒頭で主人公の兄弟がポーカーをするシーンがある。普通のドロー・ポーカーで、数学者のコンサルタントはゲームに勝っているが、いろんな確率に言及しながら、ポーカーをプレイするのはこれで2回目だと言う。エピソードのストーリーはセイバーメトリクス("Moneyball"で有名になった、野球の統計学的分析手法)を扱うもので、冒頭のポーカーのシーンはその導入として使われているだけだ。

真野恵里菜の回の変則ポーカーでは、むしろ確率の議論がまったく出て来ないことが奇妙だった。


● いまさらパクリだどうだなどと言う気はないけれども、こうやって見ると、かろうじて数学的トリックと言えそうなもので残るのは鈴木愛理の回の奇妙なくじ引きだけだ。あれは問題設定もその解もあまりに強引で、どこかに元ネタがありそうな気がしない。そりゃあんな不自然なくじを作ったら、何か裏があると思うだろうに。



ちなみに"Numb3rs"はあまり面白くないので、途中からは他の作業をしながら見た。数学の応用の仕方は、なかには少数ながら妥当なものもあったけれども、所詮はCBSのプライムタイム・ドラマなので、その見せ方がうっとうしくて真面目に見ていられない。

というのは質の高いケーブル系ドラマに慣れてしまった者の贅沢というもので、さすがにネットワークで長続きした作品だけあって一般受けしそうな内容にはなっている。Amazon.comでシーズン1まるごとが中古なら10ドルを割っている(http://www.amazon.com/dp/B000ERVJKE/)から、話の種に見てみてもいいかも。
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テレビ・ドラマ『数学女子学園』の全体的な感想

ハロプロのメンバーが大勢出演したテレビ・ドラマ『数学女子学園』が3月28日の第12回で終わったので、全体的な感想を書いておく。

考えてみると、これは私が物心ついてから初めて見通した日本製テレビ・ドラマだ。その意味で、この『数学女子学園』は少なくとも私にとっては他の数多の日本製テレビ・ドラマよりも優れた作品である、というのは大前提にある。


● 最初に見て「なんだこりゃ」と思ったエピソード#1が、終わってみると一番良かった。

「それは」

suugaku1.gif


「転校生が立っていた場合でしょ?」

suugaku2.gif


初めてanimated GIFを作ってみたが、FC2ブログはファイル・サイズを500Kに抑えなくてはならないので面倒だった。上は8 fps、下は5 fps。


● 吉川友の演技は大きな収穫だった。役柄と台詞のタイプに助けられてはいたが、安心して見ていられた。次点は役に恵まれなかった高木紗友希。


● 道重さゆみは、当初は自信満々に女優の道を目指すなどと豪語していたのに、何週分かが放映された頃から『ヤングタウン』で弱気の発言をするようになった。これが『数学女子学園』を見ての結果なのか、私は見られないでいる携帯電話専用ドラマ絡みのことなのかはわからない。

飽くまでも贔屓目に見てということだが、与えられた役柄と台詞が悪すぎた。コントだと思ってやるという選択は正解だったと思う。


● そういえば数学というトピックをストーリーに組み込んだテレビ・ドラマとしては、CBSの"Numb3rs"という犯罪捜査ドラマ("procedural")があった(Wikipediaのエントリ)。複数の数学者をコンサルタントとして雇い、ストーリーへの数学の組み込みにそこそこ成功したとされる、6シーズン続いたヒット作である。"CSI: Crime Scene Investigation"の成功後にCBSが濫造してきたproceduralものの1つで、"Cold Case"、"Criminal Minds"、"Without a Trace"など、本家"CSI"を含めてあまり面白いものはない。

私はこの作品は何回か見ただけなので、数学がどのていどうまく使われていたのかを知らなかったのだが、DVDのボックス・セットが家にあったので最初の方をちょっと見てみた。

* エピソード#1 "Pilot"は、連続レイプ犯の犯行現場から、ブラック・ホールの場所を推定する手法を使って、レイピスト本人が住んでいる「ホット・ゾーン」を推定する、という話。

* エピソード#2 "Uncertainty Principle"は、連続銀行強盗犯が狙う銀行のパターンから背後の隠れた動機を発見する、という話。

* エピソード#3 "Vector"は、致死性のインフルエンザの感染経路を計算する、という話。

* エピソード#4 "Structural Corruption"は、飛び降り自殺した学生が生前に行っていたある建築物の構造計算から、隠された秘密を暴くという話。

* エピソード#5 "Prime Suspect"は、誘拐された少女の父親が、リーマン予想に取り組んでいる数学者で、その成果を暗号に使おうとする悪者から脅迫される、という話。


とまあ、すでにエピソード5つも見てしまったことからわかるように、かつて私が受けた印象よりはずっと良かった。数学の組み込み方には出来不出来があるが、少なくともシーズン1のこの時点では真剣に脚本を作っていることが伝わってくる。


● 『Numb3rs』を見て改めて思ったのは、『数学女子学園』を作った人たちには数学に関する知識や思い入れがまったくないように感じられる、ということ。過度にマニアックになったら鬱陶しくなるだろうけれども、そもそも実際に数学を使った対決をしているシーン以外で、そこが数学を専門とする学校であることや、登場人物たちが数学が好きで得意であるということがまったく伝わってこないのは大問題だ。頑張って思いついたのが「サイン、コサイン、明太子」だったわけで。

こんなことで田中れいなの数学対決に説得力が生まれるはずもなく、須藤茉麻と食堂までの競争をやったエピソード3とか、嗣永桃子と障碍物競走をしたエピソード6とか、教育実習生が手鏡でスカートの中を覗こうとするエピソード9など、数学と関係のない回の方が理に叶ったストーリーになっているという奇妙な現象が起こっていた。

2012年3月28日、テレビ・ドラマ『数学女子学園』

2012年3月28日、『数学女子学園』の最終回、エピソード12が放映された。

前週のエピソード11の続きで、石川梨華演じる田中れいなの姉との対決が行われる。


「とうとう始まった」。

120328 数学女子学園-3 とうとう始まった


「ニーナ様」。心配そうな表情でつまらないセリフを言うカットが続く。これはどんな名優にも無理な仕事だろう。

120328 数学女子学園-4 ニーナ様


「一樹、あんたまで!?」。彼も明太子パンを持っていたことに驚いて。

120328 数学女子学園-5 かずきあんたまで?


「ニーナ様が完全復活」。

120328 数学女子学園-6 ニーナさまが完全復活


勝利を称えての「ニーナ様」。

120328 数学女子学園-8 ニーナさま


石川梨華の意味不明なネタ晴らしに「え~」。

120328 数学女子学園-9 えー


「うん知りたい」。鈴木愛理がなぜ桜田通を好きなのかを知りたい。

120328 数学女子学園-10 うん知りたい


「もっと速く走れないの」。桜田通にはっぱをかける。

120328 数学女子学園-11 もっと速く走れないの


「けどニーナ様らしい」。

120328 数学女子学園-12 けどニーナ様らしい


最終回の数学勝負は、これまでの常識クイズみたいなのとはうってかわって、大学の数論の講義の、教官が板書した内容を思い出せるか勝負のテストみたいな問題になった。問題文は「1+1=2を証明せよ」。ここでの「正解」は、ペアノの公理が与えられたときに、加法を定義することができ、その定義の下でs(s(0))がs(0)にs(0)を加えたものに等しい、ということを示すという流れ。

石川梨華はペアノの公理の内容をホワイトボードに書いて解説し、「ペアノの公理よ」と言って不敵に笑う。

120328 数学女子学園-13 石川梨華


田中れいなは答えがわからずに膝を折るのだが、道重さゆみと桜田通から明太子パンをもらって力が復活し、「姉ちゃん、ニーナの力はこんなんじゃない!」と叫ぶ。するとなぜか石川梨華の方が混乱し、「このあとは…」と呟いて手が止まる。これを受けて田中れいながホワイトボードに向かい、自然数に対して加法を定義できることを示す。

120328 数学女子学園-14 田中れいな


明太子パンには、田中れいなのパワーを増大させる力だけでなく、敵のパワーを鈍らせる超常的な力もあった、のだろうか。それとも石川梨華はもともとペアノの公理を思い出すのが精一杯で、あの不敵な笑みはブラフだったのだろうか。そもそも田中れいなの勝利はいかにして判定されたのか。

というようなのはもとから期待していないにしても、一番がっかりしたのは、対戦後に田中れいなが「数学的に言うと1足す1は2。でも、ニーナはそれが合っとうとは思わん」と陳腐なことを言い始めたことだったかな。

まあひどい最終回だった。あと一回、まとめの文章を書こうと思う。

2012年3月21日、テレビ・ドラマ『数学女子学園』

2012年3月21日、『数学女子学園』のエピソード11が放映された。

ストーリーは前週のエピソード10の続きで、真野恵里菜との変則ポーカーから始まる。勝負に負けた真野恵里菜は、校内での圧政は3年生に頼まれてやっていたことだったと告げる。その後、黒幕の保田圭と飯田圭織との勝負が行われ、最後に田中れいなの姉・石川梨華が「マント被った」不思議な人物として登場する。しかしマントとはフランス語のmanteauで、袖のない外套の意。「フード」と言いたかったのか? しかしあれはマフラーかショールのように見えたような気もする。


「これってもしかしてフラッシュ狙いってこと?」。この電球の絵は「映像表現の敗北」という感じ。

120321 数学女子学園-1


桜田通が戦術を理解しているかどうか心配な2人。このドラマの演技指導をした人は別の仕事に就いた方がいい。

120321 数学女子学園-2


勝負に負けた真野恵里菜が狂ったような高笑いをするのを見て。

120321 数学女子学園-3


「矢文!?」。3年生からの矢文ならぬコンパス文が投げ込まれる。

120321 数学女子学園-4 これは矢文


「ファイナル・バトルが始まるぞ」。明石家さんまに見られたら死ぬまでネタにされそうな珍シーン。

120321 数学女子学園-5 ファイナルバトルが始まるぞ


決戦へ。別の日に撮ったのだろう。顔のコンディションが良い。

120321 数学女子学園-6




田中れいな側が捨てカードを使った情報交換によりフラッシュを作る、という先週の私の予想は当たった。外れたのはその動機というか説明で、真野恵里菜の戦略に対抗するという意味合いはなく、単純に「数字は13まであるけど、マークは4つまでしかない。ニーナたちはマークを揃えるフラッシュ狙いが一番成功する率が高い!」ということだった。

120321 数学女子学園-7


そう考えた田中れいなは、クラブのキングとスペードの7を捨てて2枚ドローする。道重さゆみはフラッシュ狙いに気づいて、ダイヤの7を捨てて1枚ドロー。桜田通はダイヤの3を捨てて1枚ドロー。

2巡目、田中れいなはダイヤのクイーンを捨てて1枚ドロー、道重さゆみはスペードの4を捨てて1枚ドロー。桜田通はホールド。

結果として、田中れいなはハートのキングとハートの9、道重さゆみはハートの8とハートの5、桜田通はハートの2でフラッシュが完成。真野恵里菜のストレートに勝った。


ドローされたカードは、最後の3枚が連続してハート、最後の6枚のうち4枚がハートだったことになる。これほど偏っていなければフラッシュはできていなかったわけで、果たしてこれで、「この条件ではフラッシュ狙いの成功確率が高い」と言ってよいのだろうか?


仮にそうだとしても、私が納得できないのは道重さゆみの1回目のドローである。道重さゆみは手の中にハートとダイヤを1枚ずつ持っていて、ダイヤの方を捨てた。しかしこの時点で、真野恵里菜はすでにハートの3を捨てていたのだ。

120321 数学女子学園-8


普通に考えれば、このとき道重さゆみは、場に見えていないダイヤを残して、ハートを捨てるべきだったろう。このあたりの脚本あるいは演出の詰めの甘さがなんとも歯がゆい。


真野恵里菜は1回目はストレート、2回目はスリー・オブ・ア・カインド、3回目はストレートを作った。これほど運のいい人に勝つのは普通のポーカーでも至難の技で、捨て身の攻撃としてフラッシュを狙うのも仕方がないかもしれないが、仮に真野恵里菜側も田中れいな側も普通の運の持ち主だったとしたら、田中れいな側はどんな戦法を使うべきだったろうか。

私だったら、配られた手にペアがあったらそのままにするとしても、そうでなければ3人で絵札を集め、強いカードでのペアやスリー・オブ・ア・カインドを狙うだろう。その意図を3人で統一できるかどうかがこのストーリーの要だったのだとしたら、3人の間であれほどクドいコミュニケーションが許されるような設定にするべきではなかった。

でもコミュニケーションが一切許されなかったとしても、3人ともその結論に行き着く可能性は十分に高いし、なによりも、3人のうち2人だけしか意思統一できなかったとしても勝算はあるという点で、フラッシュ狙いよりもずっと現実的だと思う。

2012年3月14日、テレビ・ドラマ『数学女子学園』

2012年3月14日、『数学女子学園』のエピソード10が放映された。

転校生のお嬢様・真野恵里菜の圧政に耐えかねた田中れいなが勝負を挑む。


「なんでそんな権利あるのよ」。この日の道重さゆみは体調が悪そうだが、真野恵里菜に対して敵対的な態度をとっている場面がほとんどで、バリエーションはないものの演技も表情もそんなに悪くない。

120314 数学女子学園-1 なんでそんな権利あるのよ


「私は勘違いじゃなくて実際かわいいの」。

120314 数学女子学園-2 私は勘違いじゃなくて実際かわいいの


手前は真野恵里菜の従者役の宮本佳林。残念ながらあまり見せ場はなかった。

120314 数学女子学園-3 当たってる


「だったら私のクビも賭ける」。なぜそんなことを言い出したのかよくわからないが。

120314 数学女子学園-4 だったらあたしのクビも賭ける


「私は1枚よ」。真野恵里菜が要求した変則的なポーカーでの対決。

120314 数学女子学園-5 私は1枚よ


「このままじゃ勝てない」。眠たそうだが、苦悩の表情だ。

120314 数学女子学園-6 このままじゃ勝てない




今回の数学対決は、真野恵里菜1人に対して、3人が2枚、2枚、1枚とカードを持ち、最高2回まで手札を交換できるという変則的なポーカー。3回対戦して1度でも真野恵里菜に勝てればいいというルールである。最初の対戦で、真野恵里菜が2枚交換してストレートを作り、ワン・ペアの田中れいな組に勝利した。その後の展開は次週に持ち越すことになったわけだが…

モンティ・ホール問題囚人のジレンマの回と同様に、真野恵里菜がこんなことをする動機がわからない、ということになりそう。2回までカードを交換できること、カードを他人が見えるように表にして捨てることが戦略の鍵となりそうだが、こんな不自然なルールを真野恵里菜の側が設定する動機はたぶんわからないまま終わる。むしろ、田中れいなの側が「3人だとあまりに不利だっちゃ」とか言って、このルールを採用するよう要求し、突破口を開くという展開の方が理に叶っていた、ということになりそうなのだがどうなるだろうか。


なお、真野恵里菜は絵札2枚(エースとジャック)を捨てて5~9のストレートを作ったわけだが、そんなに引きが強いんだったら何しても勝つだろうに、というのはともかく、開けてみれば田中れいな側はクイーンのワン・ペアだったわけで、真野恵里菜はストレート作りに失敗してかろうじてワン・ペアができたとしても、数字の大きさで負けた可能性が高かった。エース1枚をホールドして4枚交換する方が良かったのではないか?

ちなみに、ジョーカーなしのデックだったとして、スリーカード・ストレート(3枚連続していてリャンメン待ちになっている状態)のハンドから2枚交換してストレートができる確率は 48 / 1081 = 0.044... つまり約4.4%。これは5枚全部交換してツーペアができる確率とほぼ同じ。このハンドからストレートを狙うのは定石にはない、と思う。


シナリオとしては、劇中での田中れいなのモノローグが示唆するように、田中れいな側はプレイヤーが3人に分断されているからストレートやフラッシュを作りにくく、うまく行ってもツーペアまたはスリー・オブ・ア・カインドだから、真野恵里菜の側はストレートを作れればまず勝てる、という話に持って行きたいのだろう。2回目、3回目ともに真野恵里菜がストレートを完成させたら大笑いするけど。

で、次の回では、「フラッシュを作ればストレートに勝てる」ということに気づいた田中れいなが、カードの捨て方を工夫して、どのスートを集めるかを他のプレイヤーに指示する、という展開を予想する。まあこれも意味をなさないけど。そもそも今回のエピソードのように、3人がああもおおっぴらにカードの内容についての情報を交換できるということも含めて、多くのことが意味をなしていないので。

ゲームの戦略の話はともかく、一時期ポーカーの中継番組にハマった私としてはカードの扱い方をもっとそれっぽく演出して欲しかった。シャッフルのやり方とか配り方とかカードの持ち方などが雑なのが残念だ。コンサルタントを雇う金がなかったとしても、いまではYouTubeで有名な大会の動画をいくらでも見られるのだから、雰囲気を真似るだけでもよかったのに。

2012年3月7日、テレビ・ドラマ『数学女子学園』

2012年3月7日、『数学女子学園』のエピソード9が放映された。

恋に恋する少女・矢島舞美が教育実習生に一目惚れするが、その男が手鏡を使ってスカートの中を覗く趣味を持っていた、という話。


桜田通の頑張りがだんだん愛おしくなってきた。

120307 数学女子学園-1


この日の道重さゆみは睡眠不足気味だ。

120307 数学女子学園-2


私の感覚が麻痺してきているのか、こういうのがちゃんと成立しているように思えてきた。

120307 数学女子学園-3


「先生、私の気持ち、微分・積分で求めて」。今回は数学勝負がなかったので、この部分が最も数学っぽかった。

120307 数学女子学園-4


そもそもあの教育実習生はあそこに鏡を置いて、どういうタイミングでどこからスカートの中を覗きたかったのか。エピソード1の階段の図が、実際に撮影に使われた階段とぜんぜん合致していなかったのと似た雑さだ。エピソード1の田中れいなだったら、教育実習生を擁護する側に立っていたはず。てっきり冤罪が発生する仕組みに切り込んでいくストーリーなのかと思ったのだが…


このエピソードの良い点は、男性が"romantic interest"として出てきたことである。日本のアイドルのカルチャーを見ていてよく思うのは、異性間のテンションがない、またはあったとしても不自然な形で出てくる、ということだ。この点で、男女混成グループのAAAのコンサートは、どちらかといえば「きょうだい」のイメージが強いとしても、異性が近くにいることから生じている緊張感らしきものが興味深かった。

ハロプロには今回のような健全なティーンエージャーの心の動きを見せる場がなく、「卒業」したメンバーが一気にアダルトな世界に行ってしまいがちなため、全体としてなんか清潔感がなくなっているのが残念だ。

2012年2月29日、テレビ・ドラマ『数学女子学園』

2012年2月29日、『数学女子学園』のエピソード8が放映された。

今回もドラマとしての出来はひどかったが、道重さゆみにはいい見せ場があった。

冒頭の、田中れいなと喧嘩をしているシーン。演技の素人が「キーッ!」となっている様子を文字通り「キーッ!」あるいは威嚇する猫の「フーッ!」のように演じているこの様子はなかなか興味深い。

120229 数学女子学園-1


そこから教室を飛び出て、誤って「エリートエリア」に侵入してしまうまでのシーンは、移動カメラによるそこそこ長いショットも含めてけっこう時間が長い。

120229 数学女子学園-2


このシーンには、このドラマのこれまでの回のすべての出演者のすべての演技の中で、初めてのメソッド・アクティングがあったと思う。昨年の「リアルエチュード」でのリアリズム指向の演技を思い出した。仮にこの路線を追究したとしても、日本にこの方面での才能を活かす場があるのか、私は詳しくないので知らない。


禁制エリアに入ってしまったことに気づいて焦る。

120229 数学女子学園-3


エリート生徒たちと対面して。

120229 数学女子学園-4


囚われの身となった。3人のエリート生徒を演じるのは℃-uteの中島早貴、岡井千聖、萩原舞。

120229 数学女子学園-5


部屋に閉じ込められる。

120229 数学女子学園-6


今回の数学対決は「モンティ・ホール問題」(Wikipediaのページ)。

まず先に済ませておきたいのは、「出題者の中島早貴がどのように振る舞うかを決めるルールがあらかじめ開示されていないと、田中れいなは最適な行動を決定できない」ということだ。この点で、ゲームを進めるときの中島早貴は説明不足である。

120229 数学女子学園-7


しかし上の画像にあるように背後のホワイト・ボードにはモンティ・ホール問題が成立するための条件がちゃんと書かれているようではある。田中れいなが「こっちに不利やん!」と叫んだとき、中島早貴は「あとで調整する。まずは選んで」と答えるのではなく、さっと端に寄って「このホワイト・ボードの説明をよく読みなさい」と言うべきだった。


しかし最大の問題は、中島早貴がこのルールのゲームを実施する動機がわからないこと、それゆえにこの物語がどんなメッセージを伝えようとしているのかわからなくなってしまっていることだ。今回の脚本は、第4回の囚人のジレンマの回と同じく、ゲーム理論の問題を社会的シナリオに落とし込むのに失敗している。

「モンティ・ホール問題」は期待値を最大化するためにはどんな行動を取ればいいか、という問題であり、道重さゆみが囚われている部屋を実際に当てられるか、という問題ではない。だから、田中れいなが部屋を当てたことで勝負に勝った、というストーリーには無理がある。

今回、田中れいなはまず教室Aを選び、中島早貴は教室Bが空であることを見せた。それを受けて田中れいなは教室Cに切り替えて正解し、こちらに切り替えた方が確率が高くなるということを説明し、中島早貴はお見事と平伏した。

しかし仮に、道重さゆみがいたのが教室Aだったらどうだろう。中島早貴はやはり教室Bを選び、田中れいなは教室Cに切り替えて確率を2倍にするけれども、結果として教室Cには道重さゆみはいない。田中れいなは「モンティ・ホール問題」の理屈を説明して、「切り替えることで確率を倍にしたっちゃけど、ダメだったっちゃ」とか言って、中島早貴は「ほほほ。そんな小細工をしても所詮は確率。むしろ、あなたが最初に教室Aを選んだ時点で私の勝利を確信したわ。あなたが、これが数学の勝負だと思っていることが、逆に落とし穴となったのよ」とでも答える、のだろうか?

それとも「結果的に道重さゆみを見つけることはできなかったけれども、あなたのロジックは理に叶っている。あなたの勝ちね」と言うのだろうか。それはありうるかもしれない。しかし逆に、田中れいなが選択肢を切り替えずに教室Aを選んで道重さゆみを発見してしまった場合に、中島早貴は「あなたは道重さゆみを見つけることができたけど、そのロジックには数学的裏付けはないわ。私の勝ちね」と言うことはまず許されないわけで。

結局、中島早貴がこのゲームを実施してどうしたかったのかがよくわからない。

第5回のエピソードは、鈴木愛理が席替えで隣に座れる確率を高めるためにくじ引きのルールを操作した、という話だったが、あれはその不自然なルールが、操作をするという動機の状況証拠になっているという、かなり無理はあるけれども筋が通っていないわけでもない理屈があった。他方、今回のエピソードでは、確率と実際の結果を無反省につなげてしまったことで、筋が通らなくなってしまった。


まあでも道重さゆみの見せ場があったからいいや。怒るシーンでの「メソッド・アクティング」は、その出来が素晴らしく良かったというわけでもないが、「世の中にある類型的な芝居の真似」よりもずっと興味深い。脚本の台詞がひどいということもあるが、舞台の仕事をやらせるというアップフロントの戦略がバックファイアしているということもあるかもしれない。

2012年2月22日、テレビ・ドラマ『数学女子学園』

2012年2月22日、『数学女子学園』のエピソード7が放映された。

今回のゲスト出演者は、ハロプロ研修生の(下の画像で左から)吉橋くるみ、高木紗友希、田辺奈菜美の3人。吉橋くるみは初めて名前を知った。

120222 数学女子学園-1


この3人に茶色のかつらを被せたのは大失策だったと思う。個性が消え、見分けが付きにくくなり、何よりも小汚く見える。高木紗友希の演技が悪くなかっただけにもったいなかった。




「携帯どれにしようかな~」。唐突なセリフだと思ったが、田中れいなが機械に詳しくないことの伏線だった。左手に持っているのは手鏡で、顔に光を反射させるために不自然な持ち方になっている。

120222 数学女子学園-2


1年生で、どの先輩のファンであるかによって派閥ができている、という背景説明。

120222 数学女子学園-03


「スマホに買い換えた」ことを自慢するが、田中れいなは興味を示さない。

120222 数学女子学園-4


携帯電話を持っていないと言われて驚く。

120222 数学女子学園-5


3人が勝負を申し込んできて、「あんたたち本気?」。

120222 数学女子学園-6


手を叩きながら「はいはいはいはい」。

120222 数学女子学園-7


勝負を不安げに見守る。

120222 数学女子学園-8


今回の数学勝負は、機械オンチの田中れいながコンピュータを使う相手と戦って、単純な計算問題では負けるが、ひらめき・直感が必要な最後の問題に勝って逆転するというもの。問題文は「全部燃えるまで20分かかる蚊取り線香2本とライターを使い15分を計測せよ」。

対戦相手の高木紗友希は「当てはめる公式がない」と焦るが、「そうよネットで、ネットで検索すれば」と思いついてPCでの検索を始める。しかし、片方の蚊取り線香の両端に火をつけるという発想に先に行き着いたのは、田中れいなの方だった。

120222 数学女子学園-9


今回の脚本の最大の問題は、たとえば「2本の蚊取り線香 時間を計測」でGoogle検索すると、この問題の答えが書かれているページ(http://ameblo.jp/copen-426/entry-10887572967.html)がずばりSERPのトップに来ることだ。20分と15分という数値まで同じ。コンピュータ・リテラシーのない者が、アナログなひらめきを必要とする問題で、機械の力に頼る3人組に勝利するというストーリーの根元のところに大きな穴がある。

このようなストーリーを作りたいのであれば、単純な足し算の問題を最後に持ってきて、そろばんを使う田中れいなが、外付けキーパッドを使う田辺奈菜美に勝つという話にした方がよかった。実際、田辺奈菜美のキー入力のショットを早回しにしたのは、通常速度のままだと田辺奈菜美が勝つという設定に説得力がなくなるからだったのではないか。田中れいなのそろばんも遅かったけど。


なお、このパズルでは一般にはロウソクが題材として使われる(たとえば"candle+puzzle"でGoogle検索)。昔からロウソクは時間の測定に使われてきたから自然なことではある。しかしこのパズルの最大の問題は、「時計に使うようなロウソクの両端に火を付ける」ことのイメージがさっぱり湧かないことだ。だいたいロウソクを水平にしたら、燃える速度が変わるだろう。

この点では、螺旋状の蚊取り線香はもともと水平な状態で燃やすからわかりやすい。ただ、螺旋の外側から燃やすのと内側から燃やすので、燃焼速度が変わるのではないかという疑問は残る。たとえばこの記事(http://mainichi.jp/area/chiba/news/20120211ddlk12040092000c.html)には「カーブの緩急で燃えるスピードが変わる」とある。

2012年2月15日、テレビ・ドラマ『数学女子学園』

2012年2月15日、『数学女子学園』のエピソード6が放映された。

今回のゲスト出演者は嗣永桃子。普段やっているキャラクターを持ち込んだだけだが、さすがによく作り上げられている。

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この嗣永桃子と道重さゆみの衝突を中心に描くストーリーだったため、最初から最後まで通して見た。これに頑張って付き合ってくれている桜田通の名前はハロプロ・ファンの記憶に長く残るだろうと思う。


登校中にナンパされた話を嬉しそうに語る。

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独り言でケチを付けている桜田通を吊し上げる。

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肩を揉んでもらって気持ちよくなっている演技が下手すぎる。

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転校してきた嗣永桃子にご立腹。今回はこういう邪悪な表情が多くてよかった。

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嗣永桃子と仲良くなろうと近づいたが、「どうでもいい」と切り捨てられる。桜田通が後ろの方でいちいち小さい芝居をしているのが同情を誘う。

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道重さゆみが黒板にこういうものを書いたということだけでも笑える。導関数の計算が雑だ。

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意味不明なファッション・ショー1着目。嗣永桃子が嫉妬するのはストーリー上の整合性がない。

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ファッション・ショー2着目。

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ファッション・ショー3着目。こういうドレスは映える。

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小学生のときの転校生に負けた苦い思い出を語る。

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障碍物競走で勝負することになる。超安っぽいヴァンゲリスもどきの音楽が流れている。

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三輪車で転んで引き離される。「体重が小さいと小回りが効いて有利」という理屈だけれども、脚が長いとペダルを漕ぎにくいという要因の方が大きいんでは。だいたい、回るところで転んだわけじゃないし。

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パン食い競争で、身長の差が効いて追いつく。

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張った胸の大きさの差で勝利。

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嗣永桃子が小学校のときの転校生だったことが判明。

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嗣永桃子がエピソード4の吉川友に続いて、シーンを支える存在感と安定感を見せていた。こういうのを見ると、「バラエティ番組での対応力」とかの以前の問題として、「テレビ番組に出して大丈夫な人」なんだなと思う。

スマイレージの和田彩花、福田花音、田村芽実の3人は、いつも演技をしなくて済む出演の仕方なので傷が浅くて相対的に得をしている。と思っていたのだが、福田花音と田村芽実は舞台での芝居の経験も多いはず。傷が浅いのは、実はそれなりの裏付けがあってのことなのか。

『数学女子学園』エピソード#1のパンチラ対決について

ドラマ『数学女子学園』のエピソード1のパンチラ対決がどうも頭のどこかに引っかかっていたのだが、今回その原因を思い出して確認したので、記録としてここに書いておく。

あのエピソードでは、この階段のところで、下に立っている主演男優の桜田通が、上に立っている道重さゆみのスカートの中を覗き込んだと告発された。

120111-パンチラ1


しかし、角度からしてスカートの中の下着を見ることはできなかったはずだ、というのが田中れいなの反論だった。

120111-パンチラ2


これを受けて道重さゆみは、桜田通がしゃがんで覗き込んだと言う。それに応えて田中れいなは、二階にいた目撃者は、桜田通がしゃがんでいたら視野が壁に遮られて見えなかったはずだ、と反論する。

120111-パンチラ3


2つ目の画像ですでに2階からの視線と壁の図が描かれているのは、議論の流れからしておかしいのだけれども(まだそんなこと話題にのぼってないんだから)、そういうことを言い始めたら「桜田通が一度もしゃがまなかった」ことを立証しなくては反論になっていないんだし、そもそも1つ目の画像にある階段がこの図のような形をしていないし、2階の目撃者と壁の位置関係も怪しいので、全体的にお話が成立していない。


それはともかく、この対決に2階の目撃者という要素を持ち込む必然性が薄いように感じられたこともあって、どうも気になっていたのだが、これと似た設定を別のところで見たことを思い出した。2010年秋から放映され、残念ながら1シーズンで打ち切られた"Law & Order: Los Angeles"というドラマの"Westwood"というエピソードである(http://www.imdb.com/title/tt1925050/)。


このエピソードでは、ある家の前の庭で、その家の主である男が射殺される。被疑者は、最初は相手を殺そうと思ってその家にやってきたのだが、その気をなくして帰ろうとした。しかし被害者に背後からシャベルで殴りかかられ、膝をついた姿勢で振り返って銃を撃った。だが、膝をついた状態で撃ったのだとしたら、被害者の胸の銃創の角度が合わない、というのが裁判の1つの争点となった。

もう1つの争点は、家の2階にいた被害者の息子が、庭で起こっていたこと、すなわち被害者がシャベルを振り回しているのを目撃した、と証言したことだった。実際には、目撃者が見たという、シャベルが当たって傷が残った木は、2階の窓からは視野が遮られて見ることができなかった。

このように2つの直線の角度が疑われるという仕掛けが『数学女子学園』のそれに似ているのだ。地上では、視線/弾道が、スカートの中/胸の銃創の角度と合わない。そして2階からの視線では、壁/屋根に遮られて、目撃者が見たとしている木/被疑者を見ることができない。

私は『数学女子学園』の脚本家が"Law & Order: LA"のこのエピソードを見てトリックを借用したと主張するつもりはない。ただ、"Law & Order: LA"の方で、2階からの目撃者の視線というもう1つの直線がストーリーの中にうまく組み込まれていたのと比較すると、『数学女子学園』の2階からの目撃者の不自然さが際立つのである。


エピソード4の囚人のジレンマもそうだったが、肝心の「数学による対決」の要素が論理的にちゃんと作り込まれていないのは、「数学」を題材にしているドラマであるだけに余計に腹立たしい。このドラマは他のすべてがダメでも、この部分での脚本だけはなんとかなっていてもよかったはず、と思う。
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